August 09, 2003

■ ご苦労様

2ch - 【一般】年上に「ご苦労様です」は失礼【常識】

僕は以前の彼女に「ご苦労様」と言って、この指摘を受けた(彼女は僕より年上)ことがあるのですが、なんだか納得できませんでした。上記スレに載っていた、「お疲れ様です」と「ご苦労様です」の使い分けは?には、以下のように書かれています。

どちらも労いの言葉ではありますが、「お疲れ様です」が比較的身分に中立的に用いられるのに対して、「ご苦労様です」は「奉仕」というニュアンスが伴って、目上から目下に対して用いられる傾向が強くなっています。特に会社などではこれを目上に対して用いないことがマナーとして確立しているようです。

いちおうマナーとして確立しているようですが、目上から目下に対して用いられる傾向が強くなっている、と書かれているので、これはごく最近の傾向と考えてよさそうです。 見逃すことができないのが、「特に会社などでは」という部分です。これはよくある「会社」ならではの、変な慣習のひとつであって、それが一般的に広まってきたのではないかと想像しました。時代劇風な「ご苦労」もしくは「ご苦労であった」のような言い回しが念頭にあって、それが原因で「ご苦労様」まで、封建時代的な主従関係で用いられるような錯覚が生まれたのかもしれない。「ご苦労様です」という言葉自体に「奉仕」のニュアンスが伴うとは、僕には思えません。

直接関係はありませんが、会社ではよく、メールや電話の最初に「○○です。お疲れ様です」と言いますが、これも一種の会社の慣習で、一部の会社ではこの会話が変だと感じるようです。ある会社に行ったとき、「○○は電話の最初で必ず『お疲れ様です』って言うんだよ。疲れてねーよ」という会話を聞いたのが印象的でした。

話を戻して「ご苦労様」ですが、僕は指摘を受けて以来、ずいぶん気をつけて「ご苦労様」という言葉を見(聞き)逃さないようにしてきました。僕は会社に目下の人がいないので、会社における「ご苦労様」を確認することはできなかったのですが、会社以外においては、年下の人が年上の人に「ご苦労様でした」というのを何回か聞き、メールでも何回か目にしました。

小説などでも、目上の人に対する「ご苦労様」をいくつか見つけることができました。なかでもよく覚えているのが、大西巨人『神聖喜劇』に、上官に対する返礼は「ご苦労様でありました」が決まり文句であった、という記述があったことです。『神聖喜劇』は言葉の使用にものすごく厳格な小説です。「弛緩」を「チカン」と読む上官を扱き下ろし、「四」を「ヨン」、「七」を「ナナ」と呼ぶ軍隊の慣習を嘲弄し、「捏造」を「デツゾウ」(「ネツゾウ」は本来間違いであった)と読ませるこの小説が、「ご苦労様」の用法に言及しないのはおかしいし、本当にこれが間違った用法であるのなら、大西氏がそれを見逃すはずはないと思ったのです。

手元の『広辞苑』と『新辞林』には以下のように載っていました(他の辞書も調べた方がいいかもしれない)。

『広辞苑』

ごくろう‐さま【御苦労様】‥ラウ‥
「ごくろう」を丁寧にいう語。「遠いところを----です」

ご‐くろう【御苦労】‥ラウ
他人の苦労を敬っていう語。また、他人の骨折りをねぎらっていう語。他人の無駄な骨折りをあざけってもいう。浄、曾根崎心中「さてさていかい----」。「この雨に出かけるとは----なことだ」

『新辞林』

ごくろう【御苦労】
(1)相手の骨折りをねぎらっていう語。「----さま」
(2)人の努力や骨折りをひやかし,また皮肉っぽくいう語。「暑いのに----なことだ」

Posted by yatsu at August 9, 2003 05:12 PM