ゲーオタのためのロマン主義講義(FF2の構造分析) [2]
Posted by yatsu Sat, 30 Sep 2006 08:02:10 GMT
(゚Д゚)ウボァー (*1)
あまり長引かせて期待させてもいけないので、なるべくさくっと終わらせます。 たぶん連載は2回か3回です(あれ、もう2回目か)。
前回、広辞苑の「ロマンチシズム」を紹介しましたが、ロマン主義というと、この広辞苑のように「夢や空想の世界にあこがれ、現実を逃避し、甘い情緒や感傷を好む傾向」といったいくつかの性質や側面が説明されるのですが、それよりも大切な根本原則が説明されることはほとんどなく、専門的な本を読まなければ理解できないという状況です。 上記のようなロマン主義的性質は、ロマン主義者が直接に目指したものではなく、むしろロマン主義によって生じた結果と考えるべきです。 このようなものだけを追いかけていては、本質にたどり着くことはできないし、神秘主義、ユートピア主義との違いも明確になりません。 ここではいちばん大事な根っこを説明しようと思います。
第2回講義 – 啓蒙主義とロマン主義
FF2のオープニングは、いきなり黒騎士の戦闘から始まり、パーティはなすすべもなく全滅させられます。 ロマン主義のオープニングでは、啓蒙主義の暴力に人間性はなすすべもなく敗れます。 ここから反乱軍たるロマン主義が組織されていくのです。
今回も広辞苑から、「啓蒙思想」を紹介します。
けいもう-しそう【啓蒙思想】
ヨーロッパ思想史上、17世紀末葉に起り18世紀後半に至って全盛に達した旧弊打破の革新的な思想。人間的·自然的理性(悟性)を尊重し、宗教的権威に反対して人間的·合理的思惟の自律を唱え、正しい立法と教育を通じて人間生活の進歩·改善、幸福の増進を行うことが可能であると信じ、宗教·政治·社会·教育·経済·法律の各般にわたって旧慣を改め新秩序を建設しようとした。(以下略)
ここでは広辞苑に文句はつけません(笑) (*1)
デカルト以降、それまで宗教的、感覚的に捉えれていたものが、合理的、自然主義的に捉えられることがわかってきました。 それが17世紀末以降、啓蒙主義という大きな思想の流れとなりました。
啓蒙主義は以下のような傾向をもっています。
- ただ一つの正しい解が存在すると考える
- 規範的なものを求める
- 理性であらゆる問題を解決できる
- 規範の積み重ねによって人類は進歩する
- 客観的
ある思想が流行すると、これがすべてだ(これでなんでも解決できる)という極端な傾向が生じてくるものです。 啓蒙主義は行き過ぎた合理主義をもたらしました。 ロマン主義とは、このような啓蒙主義に抵抗し、人間性を守ろうとする意志です。
最も重要な点は以下です。
- ロマン主義は啓蒙主義に対抗するものである
- ロマン主義は規範を拒み、個人の独自性を重視する
ロマン主義は啓蒙主義の合理性、規範性の性質から理解することが肝心です。 「乙女の吐息」も「中世のお城」もこの原則から導き出すことが可能なのです。
ロマン主義は、上で示した啓蒙主義と反対の性質をもっています。
- ただ一つの解など存在しない
- 規範的なものを拒否する
- 理性で捉えれないもの(情緒的なものなど)が重要
- 規範は可能性を狭め、人類は退廃する
- 主観的
3から「乙女の吐息」は説明できます。 4から、可能性をより多くもった過去の方が未来よりも理想的だという思想が出てきます。 ここから「中世のお城」が説明できます。 これらはどちらかというと、ロマン主義の副次的な性質と考えるべきです。 むしろロマン主義の本質に近いのは、「俺には俺の生き方がある」、「ナンバーワンよりオンリーワン」といった思想です。 そういう考えの人って多いでしょう? これが現代の現実生活においてもロマン主義という言葉が重要だと僕が考える理由です。
ロマン主義では「イロニー(アイロニー)」という重要概念がありますが、根本的な問題意識の時点から、合理性の理不尽さというイロニーが存在していたのです。
今回はおもしろいネタを書けなかったので、次回がんばります。
(*1)
FF2ファンへのあいさつ(のつもり)。
参考: ウボァーとは - はてなダイアリー
ウボァーまでもがロマン主義的に解釈できることを後で示します。
(*2)
啓蒙主義については、できれば別のシリーズで書きたいと思います。
